小山君の思考７

小山君は死んだ。

そして、そのとき初めて、自分が生きていたことを認識したのである。

では、この思考は、意志のかたちは、なんなのだろう……。

それは、また、別の小山君である。



何が、「正しい行い」なのかは、非常に難しい問題である。

哲学上では、大まかに、

１、最大多数の最大幸福（ベンサム）

２、人間の尊厳に価値を置くこと（カント）

３、美徳と共通善を育むこと（アリストテレス）

の三つだと論ぜられているそうだ。

マイケル・サンデスなどのお勧めは３だが、

小山君は、共通善というやつに懐疑的である。



さればとて、「疑うこと」とは、「信じること」の諸刃でもある。

信じようとすればこそ、懐疑が生まれ、心は迷い、ひとを傷つけ、自分を傷つけ、

その葛藤とせめぎ合いの狭間に積もった塵のような、吹けば消えてしまいそうな砂上
の楼閣、

その幻想の名は「誠の信頼」ではなかっただろうか……。

疑わない者は、同時に、深く信用しない者でもあるのだろう、そう考える小山君。

信じるのを止めれば、悩まなくて良い。

無関心でいられる。

これは「正しい行い」なのだろうか？





１１月１７日（木）の活動は、冬公演に向けた台本の読み合わせ。

何か、いつもの公演とは違った風なものがしたいなぁ、という雰囲気があり、

台本も様々。

シリアスであったり、短編集であったり、場所の設定や演出の試みであったり、

挑戦的で、小山君、ご満悦。

ムフフのフ。

以前の小山君は罪を食らって死に絶え、

禊を済ませたニュー小山君リニューアルオープン、

開店記念品贈呈、全商品５０％ＯＦＦ、

誠心誠意、心を尽くして。



でも、これも幻想。

疑ってね。